「ここか……?」
休息をとった部屋から奥に続く道を見つけ、進んでみると先ほど魔剣と対峙したようなホールに出た。さすがに頭蓋骨は敷き詰められていないが。
(…………いきなり踏み込むのも危険だな)
目標の魔物の姿は見えない。
炎の魔剣を片手にチェリオは思案した。
「むー……ねむひよぅ」
後ろから寝ぼけた少女の声が聞こえるが、無視。
「ココ以外に他に通路は見当たら無いな」
「……ん。それはともかく……チェリオ」
クルトは目を擦り、打って変わって真剣な面もちでチェリオを見上げる。
「何だ?」
「ココ何処」
……………
…………………
「寝ぼけるのも大概にしろお前は……ッ!」
クルトのボケにチェリオはワナワナと手を震わせ、呻く。
少女は考え込むようにしばし薄暗い天井を眺める。
カサカサカサ……知らない何かの虫が天井を這っていった。
クルトはポン、と手を打ち。
「………………あ、そうそう。遺跡だったかなーココ。あはは」
ひとしきりから笑い。
「ほぉ」
冷たく呟くチェリオ。
ググッと辺りの気温が冷え込んだ。
「ぁはは……ヤダなー。チェリオ恐い顔して」
「……お前、もしかして元に戻る気無いのか?」
パタパタ手を振るクルトに零下の視線を投げかける。
「そんなこと無いわよ! そりゃまあ確かに……この姿も違った意味で便利だけど。
慣れない姿だと何か身長のせいで視線とか低いし、いつものがいいに決まってるじゃない」
「身長に関してはあんま変わらんだろ、前と」
力説する少女を見つめ、ボソリと呟く。
「…………な・ん・で・す・ってぇ?」
「それはともかく、気合いが抜けてるなら詰め直しておけお前は」
クルトの怒声をサラリと流し、嘆息混じりで言葉を紡ぐ。
「き、気合いって詰め直せるモノなの?」
「無論だ」
「……………」
(しんよーできない)
断言するチェリオの顔を見つめ、クルトは胸の内で小さく呟いたのだった。
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